「やる夫と人狼の遊戯」
2011年05月31日 22時26分
ゲーム人狼を原作にした物語。
やる夫、やらない夫たちの村が人狼の霧によって閉ざされます。
人狼は圧倒的に強力で、人の身で立ち打ちすることはできません。脱出できない村人たちは人狼の「ゲーム」に無理やり参加させられます。そのルールは、ゲームと呼ぶには陰惨極まりないものです。
- 一日に一人--人狼と思われる村人を投票によって決めて、その者の首を吊る!
- 全ての人狼を見つけだして首を吊れば村人の勝利
- 村人の数が人狼の数以下になれば人狼の勝利
人狼と思しきものだと判断するのは、各自の言動からです。村人は自分が人狼でないこと証明しつつ、不信な発言をする村人を見つけだすのです。当然人狼サイドは黙って見ていたりはしません。ウソの情報で村人を攪乱し、夜になれば村人を殺していきます。
生き残りをかけて村人と人狼の知恵をつくした戦いが始まります。
わたしは「人狼」というゲームは聞いたことはあっても内容までは知りませんでしたが十分に楽しめました。というか純粋におもしろいですよ。殺す側、殺される側も会話、言動によって勝敗が決まるというのは、コンピュータゲームではまずできない知的なものです。その知恵比べがまずおもしろいです。また会話言動によって首を吊られる村人が決まるということは、やる夫たちの生死は、彼らの人間性によるわけです(誰にも信頼されない人は、すぐに死ぬ!)。ゲームなのに人格が重要な要因になるなんて、ちょっと類を見ないのではないでしょうか。この限定された条件での知力と人格を武器にした戦いが、そのまま人間ならではの錯誤や悲喜劇となっています。
家族さえ信じられない異常な緊迫した状況で、果たしてどのような結末となるのか、一気読み推奨の作品です。
あ、それと、ここぞというところで使われる決めAAが無茶苦茶に格好いいですよ。